2009年12月6日日曜日

第22回近畿地区管制・情報懇談会ダイジェスト

主 催:社団法人日本航空機操縦士協会(JAPA)・八尾空港協議会
日 時:2009年11月27日(金) 13:15~16:45
場 所:八尾空港総合ビル2階

「主催者あいさつ」
JAPA副会長 薬師寺進
・みなさんの努力の積み重ねにより、事故は減ってきている。
・この会で情報交換を行うことで、さらに安全が向上することを。

「関西TCA(ターミナル内)の小型機の飛行について」
関西空港事務所 水本亮一主幹航空管制官
関西空港事務所 森澤知美主任航空管制官
TCAアドバイザリーを受けたい時は、プラン18項に「TCA/RJBB○○○○(○○○○はTCA進入予定時刻)」の記入を。この記入がないと通信設定時に管制官がスコークを割り当てる作業が必要で、その作業に時間がかかるため、サービスをスムーズに提供できない。
・交信は日本語でも英語でもいいので意志を通じ合わせることが大切。
・TCAアドバイザリーを要求する時は、まず関西TCAと通信設定を行う。例:”Kansak TCA,JA○○○○”。
・TCAが”go ahead”と言ったら、航空機の型式・現在位置・高度・飛行方向又は経路を通報する。例:”JA○○○○、Cessna172、7NM W of YAO,1200ft VFR,west bound,request TCA advisory.” MSN機はこの時にMSN No.を伝えれば、レーダーコンタクトまでの間に申請書を探すことも可能。(JAPA注釈:この時に具体的要求まで長々と伝えるパイロットがいますが、それを伝えるのはレーダーコンタクトされた後にした方が良いでしょう)
レーダーコンタクトされたらTCAアドバイザリーが始まるので、具体的要求を簡単明瞭に伝える。
関西出身でない管制官の場合、知らない地名を言われたら地図で探している。例えば「大阪空港の何マイル東」という言い方ならすぐ分かる。
高度・針路を変更する場合は必ず伝えてから。
・レーダーは関西サイトと大阪サイトがあり、その時々で機体が多く飛んでいる側のサイトに切り替えている。サイト毎にMVAに違い、片方のサイトでは映らなくても、もう片方のサイトでは映るケースもある。
・100%助言できるとは限らない。状況によっては情報が遅れや欠落が発生する。
・ARTS F2というフルデジタルのレーダーを使用している。1次レーダーのみでは映らないと思ってもらって良い。
・トランスポンダーをONにすることは、TCAにコンタクトするしないに関わらず、TCASに有効。
・八尾と高松のIFRのルート、徳島回りは関西や大阪のトラフィックと競合するので、高松との協定でSANDA回りを基本にしている。
・八尾のASUKA4 DEPは、関西RWY24の到着機、大阪の西への出発機、大阪の東への出発機、大阪への到着機と競合するため、管制官は最新の注意を払っている。SKE経由ならあっさり出せるケースもある。
・顔が見えない、ラジオのみでのコミュニケーション。相互理解を深めたい。
[飛行要望書の記入方法について]
・例えばMSN No.115-2のように”-2”をつけるのは止めましょう(要望書を探すのに手間がかかる。No.が足りない場合は管制事務室へ連絡すれば追加で割り当てます)。
・機番はたくさん書かず、当日使用する機番のみ。
・FAXで字がつぶれて見えにくいケースがある。一目でポイントが分かるような地図を。
・航空測量のような線上飛行の地図は、開始点・終了点を正確に。
・他官署と調整している場合は、その番号の記入があると助かる。
・2年前に管制方式基準が変わり、PCAへの進入は、ビジュアルセパレーション(関連機を目視した後、許可を発出)でOKとなった。

「大阪FSC」
大阪空港事務所 中村弘行主幹運航情報官
・大阪空港事務所の運航情報官は、先任含め31名、内10名が事務室(08:30~17:15)、21名が運用室(1シフト・昼間は5名・24時間)。
・05:30~06:30と13:00すぎにRWYやエプロンの飛行場点検を行っている。
タワー・レディオがない場外等からの離陸・着陸はなるべく早くFSCに通報を。
・隠岐・石見にはカメラが設置してあり、大阪FSCからRWY等を見られる。
・エコーは1km四方までズームでき、エコートップも表示可能。
若狭エリアに中部インフォメーション小松の子機、三重・名阪道エリアに中部インフォメーション三河の子機が設置される予定がある。
ポジションレポートはSARの時役立つ(その地点から素早く探せる。なければ経路に沿って)。
ポジションレポートはリモートやレディオへ対して行っても良い。
・パイロットからサテライトにリレーの依頼があれば、会社のアドレスを付加してリレーする。電話連絡も対応可能。
・複数の無線から同時に呼ばれたら、他の卓の人等が応援してカバーし合っている。

「八尾空港RJOY」
八尾空港事務所 中本公徳主幹航空管制官
・先任・訓練生含んで計9名。ローカル・グランド・FDを1時間交替。
TDSがあり関空のレーダーの情報を参照でき、補助的機器として利用している。八尾空港周辺では300ft、王寺では2000ftで映ったり映らなかったり。
・大阪タワー・関西アプローチ・陸自・運航情報官にホットラインがある。
・ストリップは手書き。来年度近代化される予定。
・ライトガンは2つ。
タワーに管制圏内の地図があり、顕著な地名は把握している。外来機に対してのインフォメーションは地名ではなく”○○マイルノース”という言い方をしている。
・ドクターヘリ用の地図もある。
・使用滑走路、RWY27が71%、09が24%、31が4%、13が1%。
・取扱機数、年54,000機、1日平均150機、ピーク339機(12/24クリスマスフライト)。
・1日のピークは2回、10時台と15時台。TGL多いと忙しい。
・IFR3%、VFR97%。
・70%がTGL。
・軍用15%。
・固定翼52%、ヘリ48%。
グランドにコンタクト時、離陸後の旋回方向等を通報しても、再度タワーに伝えてください。グランドは了解したとしても、忙しいとタワーの管制官に伝えられないケースがあります。(JAPA注釈:名古屋飛行場はグランドに地上滑走のリクエストをする時、スポットナンバー、離陸後の旋回方向、上昇高度の通報を行うというローカルルールがあります。空港によって管制官の都合の良いやり方に、違いがあるということですね。)
ランプアウト時、スポット名の通報に協力を。例:JA○○○○、SPOT B、REQ TAXI. →追記もご確認ください
タワーにレディーをコールする際、インターセクションディパーチャーならその旨を、TGLならTGLの回数を、圏外へ出るなら旋回方向とどこへブレークするのかを、一緒に伝えてください。それらの情報により適切な間隔設定を行い、トラフィックインフォメーションも流せます。
ミッション機は「REQ STAY [場所]」だけでなく、必ず高度も通報してください。
・スペシャルVFRの高度制限撤廃されているが、管制圏上限が1,300ftのエリアは関空との調整で遅延するケースがある(大阪のRNAV進入機との間隔設定の関係)。
耐空検査時の八尾VORオーバーステーション、西から1,200FTだと自衛隊機等と絡むケースがある。1,500FTとかで飛行することは可能だろうか?
パイロットが着陸のためにタワーにコンタクト時、位置を例えば単に「アプローチング浅香」と通報したとしたら、タワーとしてはしっかりとした場所を把握できないので、「リポート浅香」と言うしかない。参加者から「浅香は管制圏内であり、管制圏外でイニシャルコンタクトするべき」という意見が出たが、管制としては浅香でコンタクトしたので差し支えない。(注釈:単に「アプローチング○○」だけでは、タワーはその機体が6NMにいるのか、10NMにいるのか、30NMにいるのか分かりません。パイロットは具体的な位置を伝えるべきでしょう。またそれは付近を飛ぶ他機への注意喚起にもつながります。)
・久宝寺駅隣接地に建設中のツインタワーのクレーンの影響でMDA変更中。完成後のMDAはCAT Aで840ft、CAT Bで850ftになる見込み。

「神戸空港でタッチアンドゴーが可能に」
神戸空港出張所 深井隆司先任航空管制官
・神戸空港でタッチアンドゴーが可能になりました。
・前日までの調整が必要ですが、ご利用ください。
詳細は http://japawest.exblog.jp/11475089/ 参照

「質疑応答」
パイロット:ナビゲーション訓練で、TCAとコンタクト中、訓練でルートチェンジを実施。TCA、FSCどちらに通報した方が良いか?
関空管制官:状況による。ただし関西TCAと大阪FSCの間に直ラインはなく、外線でかけることになりスピーディーさに欠ける。
大阪運情官:スピーディーさを考えるとFSCへの通報が良い。

パイロット:TCAアドバイザリー中の訓練空域通過、あらためて通報が必要か?
関空管制官:お手数ですが通過する旨付け加えてください。

パイロット:耐空検査等での八尾VORのオーバーステーション、南から実施するとすれば大阪PCAに入ってしまう。PCA進入をタワーが調整してくれますか?
八尾管制官:調整できます。(JAPA注釈:CRM的観点からしても、パイロットはタワーにPCAに入ることを伝え、調整を依頼し、許可が出たことを確認してから実施するなど、十分な確認が必要でしょう。)

パイロット:八尾でライトガンアプローチの練習は可能ですか?
八尾管制官:リクエストしてもらえれば忙しくなければ可能。

パイロット:八尾のスペシャルVFR、高度制限はいつなくなりましたか? IFR BELOWでもスペシャルVFRは可能ですか?
八尾管制官:21年6月23日に変更。法的要件を満たせばIFR BELOWでもSVFR可能です。

パイロット:関西TCAのアンテナが三国山に設置され、ブラインドエリアが解消される予定と聞いていましたが?
関西管制官:ご存じのとおり社会情勢の変化により、残念ながら予算が落ち、話しが消えております。

パイロット:八尾を離陸して南東向きに管制圏上限高度を超えてどんどん上昇していく機体がありますが、問題は?
関空管制官:つい最近それでTCASが作動した事例がある。PCA下限を2500ftまで下げては?という意見も出たりしている。
パイロット:PCAの下限が2000ftから3000ftまで上がったのに、パイロットの飛行の仕方が悪ければ、またPCAの下限が下がる可能性がある。TCASを意識する等、十分な注意が必要。
関空管制官:大阪への到着機が3500ftで飛んでいるという意識を持っていただければ。

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