2012年11月3日土曜日

航空安全講習会支援


平成24年10月14日、大阪市・ドーンセンターで開催された、公益社団法人日本航空機操縦士協会主催の航空安全講習会に、支部委員2名を派遣し支援を行いました。




吉田徹認定講師
「トピックス(法改正、航法援助施設縮退、空域等)/事故の遠因・気象について考える」

航空身体検査証明書の有効期間の起算日が交付日に変わっている。
航空身体検査証明書の返納も規定された。

最近の事故、15分の4がVFR Flight Into IMCの事故、15分の3が着陸時の事故。

VFR Flight Into IMCの死亡事故が続発している。
アメリカ・日本とも、空港のMETARは良いのに、事故現場の天気が悪いケースが多い。
METARが出るのは空港だけで、雲が出やすい山のMETARは出ない。
エンルートに注意。
今、自分が飛んでいる所のWXは自分しか分からない。
気象には勝てない。

着陸の事故も多い。
風の影響による事故が多い。
斜め前からの風が、斜め後ろからの風に変わると、それは風が急に止んだことと同じ。
飛行機ならパワーを入れることができるが、グライダーはできなくて、滑走路の手前に落着する事故が多い。
ウインドシアーを認識して、パワーを増加させ、速度が回復できるまでには時間がかかる。
ラインでは、スレッシュホールド付近でシビアテールウインドシアに遭遇した場合、躊躇せずゴーアラウンドすることとしている。
ゴーアラウンド時は、テールコンタクトに注意。
何が何でも接地させようしてはいけない。


齋藤幸雄認定講師
「ディスカッション」

SHELLモデルで分析することで、どこに偏りが出ているか、どこが不足しているかが分かる。

自分のフライトは、RADARの順番で実行されていますか?
 R → Recognize 認識
 A → Analysis 分析
 D → Develop & Decision 思考・決定
 A → Action 実行
 R → Review 評価

始動前・シャットダウンはチェックリストをしっかり持ってやれている。
しかし上昇中・巡航中・降下中はメモリーに頼る傾向が見られる。
人間は忘れる動物なので、メモリーでは抜けが出てしまう。

ラインは着陸前対地500ftで「500」「スタビライズド」のコールをする。
ラインはパイロット2人で仕事を分担し、相互確認している。
小型機のパイロットは全部1人でやる。
最終確認のタイミングを作ると良い。


植野廣園認定講師
「ディスカッション」

グラスコックピットの小型機が増えて、事故が増えた。
アメリカではグラスコックピット機に乗る場合、5〜10時間のプログラムを義務付けており、日本でもそういう動きがある。

グラスコックピットのメッセージの色には意味がある。
赤は危険、黄色は注意、白はノーマル。
さらに電子音や音声でパイロットにメッセージを伝える。
ところが英語でとっつきにくい。

オランダは離婚率が高い。夫婦間のコミュニケーションが悪いため。
ラインではCRMを導入し、コミュニケーションを良くしようとしている。
CRMの導入で大型機は事故が減った。
小型機にもCRMを導入しようという動きがある。

小型機のチェックリストは、飛行規程のままのプロシージャーチェックリスト。
使いにくいのでそのうち使わなくなる。
それではいけない。

雲があれば、上げて避ける人と、下げて避ける人がいる。
下げて雲の隙間に入ってくと、そこには山が待ち構えている。
10000ftも上がれば、ぶつかる山もかなり減るし、レーダーに映ってベクターしてもらえる。
冬の寒冷前線は、10000ftで上を超えられる。

小型機はパワーを入れればすぐゴーアラウンドできる。
大型機は、慣性があるため、パワーを入れてもすぐにはついてこない。
大型機は、着陸前対地500ftでスタビライズしていれば、そのまま着陸する。
スタビライズしてなければ、300ftまでにもう一度体制を整えようとする。
小型機でも500〜600ftでフラップを下ろし、後はパワーで微調整する、そういう操縦の仕方に変わってきている。
フルフラップでも、横風制限いっぱいで降りられるようになっている。

福島の冬の気流は本当に悪い。ラインの乗客が30人吐いたり、オートパイロットが何回も外れたことも。
静岡も気流が悪いことがある。ファイナルで45度以上傾けられた小型機も。
南紀白浜は、事業用のCAB C'Kでは行くが、自家用のCAB C'Kでは行かせなかった。
台地で、ターミナルビルのある側から風が吹く時は、建物の後流に注意。

---------------------------------------------------------------------------------
当航空安全講習会は、国空乗第2077号(平成15年3月28日)の科目を実施しています。
受講された方は、受講日から2年までの間に行われる特定操縦技能審査の口述審査「最近の変更点」「一般知識」「航空機事項」のうち「最近の変更点」「一般知識」が免除されます。

【参考】
国空航第799号(平成24年3月29日) 特定操縦技能審査実施要領 第3章特定操縦技能審査 より抜粋

3.3.特定操縦技能審査の実施
(4) 国空乗第2077号(平15.3.28)による安全講習会を受講した者は、受講日から2年までの間に行われる特定操縦技能審査において、「特定操縦技能審査実施細則」(国空航第800号平成24年3月29日)に定める口述審査のうち、「最近の変更点」「一般知識」については免除とする。

3.1.2 特定操縦技能審査の申請及び審査
被審査者は、「特定操縦技能審査申請書」(規則第28号の8様式)及び次に掲げる添付書類(1)~(3)を操縦技能審査員に提出すること。
(5) 口述審査の一部免除を受けようとする者は、講習修了書を提示すること。