2012年8月21日火曜日

新しい管制用語を覚えてください" TAXI TO HOLDING POINT ~."

AIRAC 航空路誌改訂版に、2012年9月20日から有効になる、新しい管制用語が掲載されました。
" TAXI TO HOLDING POINT ~."という用語です。

滑走路誤進入が多発し、いろいろな再発防止策を実施していますが、残念ながら滑走路誤進入が減っているとは言えない状況です。
この用語も滑走路誤進入をなくすために導入されたものと聞いています。
パイロットは、この新しい用語を覚えるだけでなく、導入された背景を忘れないで欲しいと思います。


あと、滑走路誤進入が発生するのは、この用語で地上滑走の許可をもらった直後ではなく、この用語で地上滑走の許可をもらい、数分間地上滑走した後というケースが多いのではないかと思います。
地上滑走の許可をもらった直後はその内容をしっかり覚えていても、数分間地上滑走しているうちに、内容を忘れてしまったり間違ったりすることは、人間であれば十分考えられることです。

インターセクションを通過する前や滑走路に入る前に、地上滑走の許可の内容を自ら再確認し、もし不安があれば管制官に地上滑走の許可の内容を確認する。
さらに、そのインターセクションを通過して良いのかどうか、その滑走路に入って良いのかかどうかを自問自答すると良いのではないかと思います。


また、地上滑走の許可の経路がいつもと違う場合も注意です。
ついつい、いつもの経路で地上滑走してしまいがちです。
慣れや自動化と呼ばれる現象です。


管制官・パイロット双方が協力して、滑走路誤進入を撲滅しましょう!

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AIRAC 航空路誌改訂版 改訂番号NR15/2012
発行日2012年8月23日 有効日2012年9月20日 より抜粋


Runway-holding point(滑走路停止位置)
航空機又は車両が滑走路手前で停止及び待機する場所であって、当該滑走路に接続する誘導路上における位置。


出発機は、次の用語により使用滑走路の滑走路停止位置までの走行が指示される。
" TAXI TO HOLDING POINT ([holding point designator]) (RUNWAY[number]) (VIA[route])."
" TAXI (VIA[route]) TO HOLDING POINT ([holding point designator]) (RUNWAY[number])."

例:
 "Japanair 3051, taxi to holding point runway 34L."
 "All nippon 205, runway 16R, taxi via W9,A to holding point A1."


走行経路上において滑走路を横断する必要がある航空機は、当該滑走路の滑走路停止位置までの走行が指示される。この場合、次の用語により滑走路の横断が明確に指示されない限り、滑走路停止位置で待機しなければならない。
"CROSS RUNWAY [number]. "

例:
"All nippon 2142, runway 16L, taxi to holding point B10,via C, contact tower ."
"All nippon 2142, cross runway 16L, taxi via B to holding point B1. "
"Japanair 91, runway 16L, taxi to holding point L11 runway 16R via P6, L, contact tower 118.1. "
"Japanair 91, hold short of runway 16R, traffic B787 departing from A11. "
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2012年8月11日土曜日

有視界飛行方式による運航の安全確保について

航空局より次の通知が届きました。

[概要]
運輸安全委員会は北海道の山中に墜落したセスナに関する航空事故調査報告書(説明資料)を公表した。

同報告書によると、機長は、雲を避けて雲の下に降下したところ、山岳部の雲が低く広範囲の十分な視界が確保できず、山岳地形を十分に視認できなかったため、海上に引き返す判断をしたものの、その判断をした時期が遅すぎたことから、山の尾根に墜落した可能性があるとされている。

再発防止策として、有視界飛行方式による飛行において、最低安全高度を維持して飛行することが困難な状況に遭遇することが予想される場合には、
①機を失することなく雲を避けつつ飛行経路を変更するか、又は目的地を変更すること
②航空機の装備及び性能を考慮した上で、適切な時期に計器飛行方式に変更し、管制機関にレーダー誘導を要求する選択肢もあることを念頭に置くこと
などが必要であるとしている。

航空局では「有視界飛行方式による運航の安全確保について(平成14年4月30日、国空航第86号)」を発出し、指導を求めてきたところであるが、その後も小型機が有視界飛行方式による飛行にもかかわらず、雲中等を飛行したために事故に遭遇した可能性のある事案が発生している。

有視界飛行方式における悪天候に起因する航空事故を防止するため、今回公表された事故調査報告書を周知し、「有視界飛行方式による運航の安全確保について」で示している基本的事項を怠ることが重大な危険性を招くことを十分理解すること。

有視界飛行方式による運航の安全確保について(平成24年8月2日、国空航第359号)